ナミヤ雑貨店の奇蹟

現在公開中の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を観てきた。今日が公開初日だったので京都ではライブビューイングで舞台挨拶の中継があった。f:id:mieeechan:20170923192032j:image

監督の廣木隆一さん、出演の山田涼介さん、村上虹郎さん、寛一郎さん、西田敏行さん、門脇麦さん、尾野真千子さん、成海璃子さんのお話を聞くことができた。撮影の裏話の他、この作品の内容に合わせて、映画のHPで募集したお悩み相談の手紙を読み出演の俳優さんが答えるという贅沢なコーナーまであって楽しめた。俳優さんの素顔が垣間見れるので舞台挨拶付きの上映は得した気分になれるので大好きだ。西田さんはかなり前に『憑神』という映画の舞台挨拶でお話を聞いたことがあった(ライブビューイングではない舞台挨拶です)のでこれが2回目だけれど今回も楽しいトークで感激した。原作は東野圭吾さんの同名のベストセラーの小説だが読んだことはない。この作品が気に入ってしまったので小説も買ってみた。ゆっくりと原作と比べながら読みたいと思う。

ネタバレ注意です。

舞台は2012年の時越という町の商店街だった。実際は大分と都内で撮影しているらしい。そこには〈ナミヤ雑貨店〉という廃墟となったお店があり、山田涼介さん演じる敦也、村上虹郎さん演じる翔汰、寛一郎さん演じる幸平が逃げ込み身を隠すところから話は始まる。何が原因で何から隠れているのかは分からない。三人はある施設にいたということだけが会話から読みとれるだけだ。そこに、シャッター越しに手紙が放り込まれる。おもしろがって読むとそれが〈魚ミュージシャン〉からの〈ナミヤ雑貨店〉宛の進路についての悩み相談だった。内容から1980年当時の手紙であることに気づく。昔の雑誌から〈ナミヤ雑貨店〉はお悩み相談にこたえることで有名な店だったことを知りイタズラか何かかと最初は思い一旦店を出るがなぜか道に迷いまた店に戻ってしまう。手紙の返信をしてみたい気持ちにかられ何通かやりとりをすることによって不思議な出来事が次々におこる話だった。

いくつかの謎があってそれを解き明かす最初のきっかけになるのが〈REBORN〉という曲でそれをこの作品では山下達郎さんが書き下ろしている。そのメロディーといい歌詞といいすごく良くて曲だけで泣きそうになった。映画の中ではこの曲をある2人が歌っているので要注目だ。原作をささっと読むと〈ナミヤ雑貨店〉を中心とした短編集のようだった。それを映画では手紙の差出人に合わせて2012年、1980年、1988年というような感じで時間が交錯するような作りになっていてSFっぽくてすごく好みだった。東野圭吾さんにこんな作品があることを知らなかったのでまたいろいろ調べてみたい。

なりたいボーイと狂わせガール

現在公開中の映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』を観て来た。監督は大根仁さんで過去の作品では『モテキ』を観たことがある。今回の作品もざっくりいえば恋愛映画だった。ざっくりというのはそれだけを描いていると思わなかったからだ。妻夫木聡さん、水原希子さん、新井浩文さん、安藤サクラさん、江口のりこさん、天海祐希さん、リリーフランスキーさん、松尾スズキさんなど人気俳優さんがズラッと出演している。妻夫木さんと昔から縁のある俳優さんが多くて安心感のようなものがあった。原作は渋谷直角さんの同名コミックで読んでいないのでまた見つけて映画のままなのかちょっと違っているのか確認してみたい。タイトルは〈奥田民生になりたいボーイ〉とあるけれど私はなにをかくそう〈奥田民生になりたいガール〉だった。あまり芸能人がうろうろ歩いてないところで育ったのにもかかわらず、中学生の時に奥田民生さんに偶然遭遇したこと(「遅いから家に帰りなさい」と話かけていただいた。)で周囲の異性に興味が持てなくなるほどファンになってよく友人に「生まれ変われるなら奥田民生になりたい」と言っていたことが懐かしい。

ネタバレ注意です。

妻夫木さんが演じたのは自然体でかっこいい奥田民生に憧れる雑誌編集者のコーロキで先輩に新井浩文さんが演じる吉住や江口のりこさん演じる牧野がいる。おしゃれなライフスタイル雑誌なので仕事で水原希子さん演じるファッションブランドプレスの天野あかりと出会い付き合う話だった。この天野あかりというキャラクターがすごい。美人でおしゃれでモテる。華やかな世界で仕事をしているので相手はハイスペック。コーロキも自分は余裕がなくてダメだと自己評価が低いが十分ハイスペックだと思った。でも作品中はあかりを好きになってからとことん生活を狂わされる。仕事に影響が出るほど恋愛にはまる男性を見たことがないのでちょっとびっくりした。『モテキ』で麻生久美子さんが演じた重い女性を思い出した。逆にあかりのように恋愛が全く仕事に影響しない女性も少し珍しい。自分の中では男女逆転している不思議な恋愛映画だなと感じた。その不思議感がミステリアスでただの恋愛映画ではなくて、なぜ逆転化しているのか深く考えるとすごくおもしろさに幅が出ると思う。
奥田民生さんと同じぐらい生まれ変わってみたいと思ったのが妻夫木聡さんで私にとっては奇跡のコラボで貴重な作品になった。作品中登場する雑誌『マレ』も買ってしまった。妻夫木聡さんが編集されたそうだ。保存版にする。

 

 

人間の値打ち

映画『人間の値打ち(2016年公開)』を観た。イタリア・フランスの合作映画だった。監督はパオロ・ビルツィで過去の作品では『見わたすかぎり人生』などがあるようだが私はこの作品が初めてだった。出演者ではバレリア・ブルーニ・テデスキだけ分かった。『ローマに消えた男』で見たことがある。今回もちょっと似た役を演じている。

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舞台はイタリアのある町(ローマ?)だった。主人公は1人ではなく3人いてオムニバスのようなおもしろい仕上げ方をしている作品だった。全部で4章あって3章までは一つの事件をめぐる3人の当時の様子や心情を詳しく描いていている。4章はそのまとめ的な話だった。だから基本的に同じ話を違った目線で4回観ることになる。でもおもしろいことにそれがまったく違う話に見えるのでその違いを探すところがおもしろい。話の一番の核心部分は深夜に男性がひき逃げにあいそれは誰が起こした交通事故なのかというところだけれど、それを人間関係から解き明かしていく。

〈第1章ディーノ〉では不動産業を営む男ディーノが主人公だった。娘の彼氏の父親ジョバンニと偶然知り合いになり、テニスをする仲になる。そこからジョバ二の仕事の関係もあり投資を始めることになる話だった。
〈第2章カルラ〉ではジョバンニの妻であるカルラが主人公だった。嫁ぎ先がお金持ちだった為すごく優雅な生活をしている。運転手つきの車で買い物に行き高価なもの買ったりしているが偶然どうしても欲しいものを見つける。それが潰れた歴史のある劇場で元々女優だったカルラはどうしても残したいと思いジョバンニにねだって買ってもらう話だった。ジョバンニはとんでもない資産家であることが伺える。
〈第3章セレーナ〉ではディーノの娘高校生セレーナが主人公だった。高校の人間関係や恋愛、そして家族のことやすべての章に出てくるセレーナが通う高校の受賞パーティのことなどが中心に描かれていた。
〈第4章人間の値打ち〉は、まとめ的な話でタイトルについて考えさせられるような話になっている。見終わってからすごく登場人物の人物像や人間関係の印象が変わるところが一番の見所でおもしろい所だ。交通事故の前後を見返しても発見がある。

 

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ザ・ボーダーライン

映画『ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊(2016年公開)』を観た。アメリカの映画だった。監督はグレッグ・クウェダーで私はこの作品が初めてだと思う。俳優さんも初めて見る人ばかりだった。以前観た『ボーダーライン』とはタイトルがすごく似ていて間違えそうになった。主役の職業がちょっと違っていたが職務内容は近いものがあった。

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今回の舞台はサブタイトルから分かるように米国とメキシコの国境だった。主役のフローレスはそこで働く国境警備隊員だった。どういう仕事をしているかは正直ざっくりとしか知らなかった。ただ安全ではないだろうなというイメージがある。映画などで訳ありで逃げる時にこのあたりの国境を越えるとかなんとかという話を目にするからかもしれない。そこで働くフローレスのある一日を描いている。

シフト制でフローレスはホッブズという先輩とデーヴィスという後輩と三人で勤務していた。ホブッズは経験が長くて勘がするどい。危ない目にもあっているので仕事に厳しいところがある。後輩のデーヴィスはその逆で少し甘いところがある。フローレスはその間ぐらいで両方の意見を聞けるような穏やかな性格のように感じた。ある日、一台の一見普通の車が検問に訪れる。デーヴィスもフローレスも何の異変も感じなかったがホッブズの質問に過剰に反応して急に車を暴走させる。その車を詳しく調べてみると案の定違法なものが出てきてなぜか事件に巻き込まれる話だった。

国境警備隊は警察とも違うし自衛隊ともちょっと違っていて、日本にはないようだ。でも職務内容は警察と軍隊の両方を兼ねるような仕事で何かあった時周囲に人がいなかったりしてすごく危ない上に最後の砦のような仕事でかなり大変だと思った。この映画のようなことが起こったら恐ろしい。最近戦争映画を観る機会が多かったけれどこの映画もある意味戦争映画だと思った。特徴としては追いつめながら追いつめられるスリル感があった。国境にあたりの自然をすごく美しく描いているところもよりストーリーを怖くさせている。

 

 

ある戦争

映画『ある戦争(2016年公開)』を観た。デンマークの映画だった。監督はトビアス・リンホルムで私はこの作品が初めてだった。戦争映画で映像にこだわった作品が話題になっていたので対照的な作品が観たいなあと思って選んだ。最近観た『ヒトラーの忘れ物』ともちょっと違っていて苦手なジャンルの中ではすごく好きな作品だ。

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舞台はアフガニスタンだった。タリバン制圧の為に派遣されたデンマークの軍人の話だった。主役のクラウスは現地を〈巡視する〉任務の隊長だった。〈巡視する〉任務というのをこの作品で初めて知った。〈現地で監視していることを敵に知らしめる〉という言わばすごく任務の範囲が広い仕事で、地雷の撤去やら不審者の確認や民間人を武装集団から守ることはもちろん怪我の治療やら相談まで受け付けている。紛争地域なのですべて命がけだ。そんな中爆発物によって部下が亡くなり、それを見た部下の同僚が悩み始めて帰りたいと言い始めたりする。この任務自体が意味のあるものかどうか考え始めた矢先に事件が起こる。助けを求めてきた民間人の家を訪ねた際に武装集団に襲われ部下が命にかかわるような負傷をしてしまい部隊も絶体絶命の窮地に陥る。援護を求める為にクラウスは難しい判断を迫られる。その判断が軍事司法違反の疑いをかけられて法廷にまで持ち込まれる話だった。

この作品は登場人物の性格や人間関係をわかりやすく描いているところが特徴的だ。だから『ある戦争』がいわゆるアフガニスタンの任務のことだと最初は思っていたのだけれど、それが裁判の事ともとれるし、心の中の葛藤のようなものともとれるし、クラウスが国に残した家族の戦いでもあるともとれることに気づいてからすごくストーリーに入り込んでしまった。戦争映画でありながら半分ぐらいは法廷が舞台になっているのですごく熱い気持ちになったり冷静になったりして観ているだけで心がぐらぐらしてしまった。他の戦争映画ではこんな気持ちになったことがない。見終わってからも思い出す場面があって昨日観た『誰のせいでもない』とも違うもやもや感が残っている。

 

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誰のせいでもない

映画『誰のせいでもない(2016年公開)』を観た。ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデンノルウェー合作の映画だった。出演の俳優さんが国際色豊かだからだろうか。ビム・ベンダースで巨匠と言われる監督の一人のようだけれどドイツ映画にあまり詳しくないので私はこの作品が初めてだった。ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲーンズブール、レイチェル・マクアダムスなどかなり有名な俳優さんが出演している。シャルロット・ゲーンズブールはすごく久しぶりに観れてうれしかった。私服や髪型がおしゃれで中学生ぐらいの時にアイコンのような存在だった。今回は母親役ということで時の流れを感じた。

ネタバレ注意です。

舞台はカナダのモントリオールの郊外でジェームズ・フランコが演じたのは小説家のトーマスだった。スランプな上、妻とも考え方が違っていて別居して作品に挑んでいる。カナダには行ったことはないけれど冬のオリンピックが行われたりして大雪が降るイメージがある。この作品では時系列の説明に四季をうまく使っている。始まりは冬のシーンで大雪の場面が出てくる。雪の中車の運転中にある人身事故を起こしてしまうことから人生が大きく変わってしまったトーマスを11年にわたって描いていた作品だった。11年!と驚くかもしれないけれど展開が早いので2時間弱の上映時間はあっというまに過ぎてしまうと思う。

人身事故の被害者の家族のケイトをシャルロット・ゲーンズブールが演じている。事故を起こしてしまった為にトーマスはショックを受けて精神的に不安定になりそれがきっかけで妻とやり直すことになる。そこからあっと言う間に2年後、4年後、さらに4年後の話が始まる。この作品のおもしろいところは事件のことがほとんど観客には見えず分からないところだ。登場人物のやりとりで判断して先に進むしかない。もともとこの作品のようにもやもやする話が好きで小説でも2度読みするようなものを好んで選んできたのですごくこの作品は好きだ。事故を起こしてしまった男がどのように変わるのかを描いたヒューマンドラマと思ってみていると途中からすごく怖くなるかもしれない。どちらかといえば推理サスペンスかなと思う。感じ方はそれぞれなので、作品中描かれていない部分を自分なりに埋めてみるのもおもしろいと思う。

 

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パリ、恋人たちの影

映画『パリ、恋人たちの影(2017年公開)』を観た。フランス映画で監督はフィリップ・ガレルで過去の作品では『ギターはもう聞こえない』『恋人たちの失われた革命』などがある。恋愛をテーマにした作品を多く撮っているイメージがあるがこの作品もそうだ。

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舞台はタイトル通り華やかなイメージがあるパリだが、全編モノクロの映画だった。そして、主役となるのがある一組の夫婦、マノン(クロチルド・クロ)とピエール(スタニスラル・メラール)で新婚というよりは付き合いが長い感じの夫婦だった。
生活は決して優雅ではなくちょっと苦しそう。なぜならピエールはドキュメンタリー映画の制作の仕事をしているが無名で自主制作するのをマノンが手伝っている。さらにマノンがパートをして生活を支えている。なかなかできることではないと思う。それもこれもピエールを愛しているからだ。それなのにピエールはエリザベートという恋人をつくり裏切ってしまう。エリザベートも事情は了承済みで表面上納得させてはいる。そこに余計にピエールのずるさが出ていてイラッとさせられるかも知れない。エリザベートエリザベートで割り切れなくて内心は嫉妬でいっぱいで奥さんはどんな人か知りたくなったりしてどんどん重たい女になっていく姿が痛々しかった。

ある時、エリザベートがマノンが男性と一緒にいるところを偶然観てしまう話だった。最近浮気やら不倫やらテレビでもよく報道されているのでタイムリーだなと思いながら観た。男女間で浮気に関する認識がここまでちがうのかと驚いてしまった。映画の中でそれをすごくうまく描いている。少し前に観た『マギーズ・プラン』も浮気がどうのこうので夫婦が主役になっていたけれど、カラフルでポップな作品だったので対照的だなあと感じた。やっぱり夫婦が主役の恋愛映画は奥が深くておもしろい。

 

パリ、恋人たちの影 [DVD]

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