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ロブスター

映画『ロブスター(2016公開)』を観た。この個性的なタイトルと出演者の中に好きな俳優さんがいたので選んだ。『たかが世界の終わり』やフランス版『美女と野獣』のレア・セドゥが好きなのだけど、今回も奇抜な役でなかなか良かった。その他、コリン・ファレルレイチェル・ワイズなど有名人を作品の中で見ることができる。どうやら近未来を描いた作品らしく、近々本当にこうなるとしたら悲劇的と思うのだけれど、何しろ演技派の俳優陣を集めて高い完成度で作り上げているので、おもしろい。

ネタバレ注意です。

この作品のテーマは『婚活』だと最初に気付くのだけど、『ブリジットジョーンズの日記』のように甘くない。主役であるデイビッド(コリン・ファレル)がある高級なリゾートホテル風婚活施設に行くところから話は始まる。ここの施設がかなり変わっている。45日以内にパートナーを見つけることが目的なのだけど、見つけられなかった時に動物に変えられてしまうとういう。その動物は自由に選べて、デイビッドは『ロブスター』を希望する。かなりリスキーなゲーム感覚の婚活だ。

そして、滞在期間を延長させるには、近所の森で独身を狩り、狩った人数分日数が延長されるシステムだ。基本的に宿泊施設と森と町しか出てこない。宿泊施設ではおいしそうな食事、講義など興味のわくイベントが毎日繰り返されるが参加する人間からはちっとも感情が見えない。クールとはちがう別の感じでどんどん怖くなってくる。SFからホラーに変化する瞬間があるので必見だ。一方で狩りが行われるぐらいなので森にも住人がいる。そしてそこは独身しかおらず、そこのリーダーをレア・セドゥが演じている。ここの生活も厳しい。いろいろ規則があって、自由がない。たまに、町に買い物などのために行くのだけれど、ここはここで身分証の提示が求められたりして警備が厳しい。この映画に登場する人物には自由がないことに気づき、最後には人事に思えずデイビッドは一体どうすれば解放されるのか本気で考えてしまう。

監督はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモスでカンヌ国際映画祭では『ロブスター』で審査員賞、『籠の中の乙女』ではある視点賞、ユース賞を受賞している天才だ。全体的に上品で、静と動、光と影、フランス語と英語みたいに対象的なものが同時に見られるような不思議な作品であまり他にないと思うので、このちょっと変な感覚を是非体験してみて欲しい。

 

ロブスター(字幕版)

ロブスター(字幕版)

 

 

おすすめの青春映画

映画『ぼくとアールと彼女のさよなら(2015公開)』を観た。さわやかでありながら適度に笑えるところもあって何ともいえないような良さがある作品だった。何ともいえない理由は主役のグレッグが高校生で、はたから見れば一番楽しそうと思えるのに、いまいち学生生活を楽しんでないことと、タイトルにある「彼女」との出会いかたがあまりよくないことと、「アール」は友達なのに友達と呼んでないことがどうもひっかかったからだ。そこにテーマがあるので仕方ない。

ネタバレ注意です。

グレッグは高校でなるべく人とのかかわり合いをさけ、目立たないようにして問題のある生徒から絡まれないようにしている。そして、美人もさけている。なぜなら平然と気持ちを踏みにじられるからだ。そのやりとりがコミカルに描かれている。そして学内で唯一信じられる教師と幼なじみのアールにだけ心を開き、アールと映画の制作をしている。この映画がすごくかわいい。数々の有名な作品のパロディを作っているので映画好きの人はクスッとくるかもしれない。

ある日、同じ学校で友人とは言い難い母親繋がりのレイチェルのお見舞いに行くことになる。白血病になってしまったから家に行って励ましてあげてと母親から言われるのだ。今まで仲良くしてないのでお互い気まずい。最初のきっかけがそんな感じだから「絶望的な友情1日目」と表現するのだけど、それが100日とか越えてくると最初の雰囲気はなくなりお互いに悩みを話すような大切な存在になってくる。その場面全部がきれいだしシャレもきいててなんともいい。

レイチェルを演じたオリヴィア・クックがかわいくて印象に残った。もちろんグレッグを演じたトーマス・マンもよかった。役どころには少し感情移入してしまった。映画の中で映画を観て、その製作風景まで見れるような凝った作りになっていて見所はたくさんあると思う。是非、この作品を観て学生時代を思い出して欲しい。

 

 

SPOT LIGHT

映画『スポットライト/世紀のスクープ(2015公開)』を観た。マサチューセッツ州ボストンで実際に起きた事実を元にしている。出演者は『きみに読む物語レイチェル・マクアダムスが出演している。いつもかわいい役が多いけれど、今回の記者役はかっこいい。すごく合ってたと思う。

ネタバレ注意です。
タイトルの『スポットライト』はボストン・グローブ新聞社の記事の欄のことで、担当している記者がスクープ記事を載せるまでの軌跡を描いた作品だ。事件が重大かつデリケートな問題を抱えているので関係者の苦悩がよく伝わってきた。
まずグローブ社に編集局長のマーティン・バロンが転勤してくる。地元ボストンの神父ゲーガンが起こした幼児虐待事件が訴訟になっていることをきっかけに、もう少し掘り下げてみないかと提案する。

今までコラムや宗教欄で小さい記事しか載せてないことに疑問を持ち、できれば目立つスポットライトで載せて欲しいという。まず手始めに証拠の開示請求をするための訴えをしようというのだけれど、部下は勝てる見込みがあるか心配する。なぜならカトリック教会が力を持っていてあらゆる手段でもみ消しをしたりしてくることに腹をたてつつも少し諦めているところがあるのに対してバロン局長はある意味地元のことにはうといので全然気にせず勝つ見込みがあると感じている。そしてゲーガン事件で被害者の代理人をしている弁護士のガラベディアンもボストン出身ではないので、よそもので変人という扱いをされていて教会から監視を受けながら戦い続けている。グローブは地元新聞で社員もほとんど地元出身者なので、外から第三者的に見ないと分からないこともあるんだろうなあと映画を観て少し考えてしまった。

地道に取材するうちに被害を受けやすい子供のタイプが明らかになったり、今までボストンで性的虐待で名前が上がった神父は分かっているだけで13人だったのが本当はもっといるのではないかという情報を得るもそれ以上詳しいことは分からない。発想の転換で教会年鑑から不自然に転属になっていて病気休暇、休職になっている神父を一人一人当たっていくところは地味なんだけど、かっこいい。記者対弁護士、弁護士同士、時には記者同士の駆け引きも見所だ。わりと長い作品ではあるけれど、時間を忘れるほど集中して観てしまうと思う。

 

 

 

HOW TO BE SINGLE

映画『ワタシが私を見つけるまで(2016公開)』を観た。原題は『HOW TO BE SINGLE』で例によって舞台はNYだった。アメリカの映画と言えばハリウッドかNYかになってくるから仕方ない。コメディでとてもおしゃれな作品だ。

ネタバレ注意です。

主役はダコタ・ジョンソン演じるアリスが4年つき合った彼氏と同棲を解消するところから始まる。特にこれといって不満はないのだけれど、ふとやりたいことがやれてないことに気付く。グランドキャニオンに登ること、護身術を身につけること、料理を学ぶことなどやろうやろうと思って後回しにしてきた。そして、手始めに彼氏との間に冷却期間を設けて、転職することにする。

その職場で出会うロビンのキャラがすごく良くて笑ってしまう。何て言うか、遊ぶことはこの人に聞けみたいな感じでおもしろい。あまりアテにはならないけど。ロビンに紹介される、バーで働く女好きのトムやそのバーの上に住む婚活中のルーシーや婦人科の医師のアリスの姉など主要な登場人物は全員独身で独身を楽しんでいるようで実は悩んでいるところがあってかわいく思えてくる。アリスなんかは肉食系でかわいいので彼氏が切れることがないが、突然振られてしまうことが多い。
自分的にはルーシーが一番好きだった。アプリで真剣に婚活していて、いつも的外れな結果になっているやや重たい女性で、読み聞かせのボランティアのシーンが一番おかしかった。

この作品ではNYの四季が感じられる。特にクリスマスの時期がきれいだった。アリスがロックフェラーのツリーを見るシーンはオススメだ。自分もここのツリーが見たくてこの時期に旅行したので懐かしかった。
コメディなので笑えるのはもちろん(脚本が本当によかった。アドリブもかなり採用されているらしい)感動する場面もたくさんあるので、是非アリスが成長する姿を作品で観て欲しい。

 

 

ウソはホントの恋のはじまり

映画『ウソはホントの恋のはじまり(2016公開)』を観た。主演はジャスティン・ロングで、特に意識していないけれど気がつけばジャスティンの作品を選んで観ているので、潜在的に好きなのかもしれない。
不器用でかわいい男性を演じることが多いように思うけれど、今回もばっちりイメージ通りの役どころだった。

ネタバレ注意です。

舞台はNYのブルックリンでとてもおしゃれだ。ジャスティン演じるサムは小説家をしているが、好きな物を書いているわけではなくて映画など元の作品があるものを小説化するような小説家で、そんな自分を少し嫌っている。雇い主から「何でも屋」と呼ばれたりするのだけれど、そんな自分を卒業したいと思っている矢先に気になる女性が現れる。それがバーディ(エバン・レイチェル・ウッド)で近所のカフェでバリスタをしている。そしてその恋する自分を小説にしてみようと試みる。

ある日カフェに行くとバーディは退職した後でどうしても再会したいサムは何とSNSで彼女を探し出す。そして彼女の理想の男性になるべくSNSに載せてあるバーディの趣味に挑戦する。「ギターが弾ける人が好き」と聞けばギター教室に通い、「種の起源が気になる」と書いてあれば書店で本を探し、フランス料理、柔道、好きなお酒まで嗜む有り様で、ストーカーを通り越して何か分からない別の者に見えるほど努力を重ねる。そしてついにバーディが舞台を観にに行く日を突き止め再会に成功し、仲良くなるきっかけをつかむ。怖いっちゃ怖いけど魅力的な俳優さん、素敵な脚本で映像化するとなんとか作品になってるから不思議だ。

バーディの元彼のトニーを『ハムナプトラ』のブレンダン・ジェームズ・フレイザーが演じていた。ちょっとしか出てないが相変わらずの存在感だった。基本的は大人のピュアな恋愛映画なのだけれどサムの同居人とのやりとりやカフェでのシーンがおもしろかった。その他も笑えるところ満載なので見る人問わず楽しめると思う。

 

 

ハイキャッスル屋敷の死

イギリスの作家であるレオ・ブルースが書いた推理小説『ハイキャッスル屋敷の死(扶桑社)』を読んだ。1958年の作品(「A Lose For the Hangman」)なのだけれど、まったく古さを感じない、まるで最近起きた事件のように楽しんで読めた。

ネタバレ注意です。

海外の作品によくあることだけど、この作品も例外なく登場人物が多い。主役はキャロラス・ディーンとういう男性で本業はニューミンスター・クィーンズ・スクールの歴史教師で趣味で探偵をしている。そして、その学校の校長のヒュー・ゴリンジャーにある事件の解決に手を貸して欲しいと頼まれるところから話は始まる。食品製造業で成功し貴族にまでなった友人であるロード・ペンジに脅迫状が届き不安がっているので話を聞いてあげて欲しいと頼まれて、自分には向かないからと断っているうちについにサセックス州ハイキャッスル屋敷で殺人が起こる。そしてそれがロード・ペンジの秘書であるマイクル・ラチェットが何者かに射殺されるのだけど、殺された時に来ていたコートがロード・ペンジのコートを着ていて、脅迫状との関係を疑い、ついにキャロラスは屋敷に行って事件解決に尽力することになる。

その屋敷がどうも怪しい。ついついキャロラス目線になって読んでしまう。成金ぽい創られた感たっぷりのインテリアに何か隠してそうな屋敷の住人達。まず、同じく食品製造業の家から嫁いだ奥さんのレディ・ペンジや息子ユースタス、ロナルド、娘のハーマイオニの家族関係がぎくしゃくしていて気になるし、精神的に不安定なロナルドの家庭教師のロックヤーや執事のチルハム、ラチェットの家政婦のカーカー夫人などその他下僕、従僕、旅籠屋に泊まっていた客のトランパーや少し前に屋敷を退職した運転手グリブリーなど全員怪しく思えてきて一人一人のキャラを追いかけていくうちに多分読み終わって、解決する。

事件はその射殺事件以外にもいろいろ起こるので小さい事件も見逃さず読むと面白い。最終的に「13の条件」(動機やらアリバイ、性格など)にあてはまる人を犯人だと指摘するところがある。推理物の基本かも知れないけれど、やっぱり正統派の話はいいなあと思ってしまう作品だ。

 

ハイキャッスル屋敷の死 (海外文庫)

ハイキャッスル屋敷の死 (海外文庫)

 

 

パーフェクト・ルーム

映画『パーフェクト・ルーム(2014公開)』を観た。アメリカの映画で、2008年にベルギーで製作された『THE LOFT』のリメイクなので、原題は『THE LOFT』である。タイトル通り『部屋』がテーマになっていて、サスペンススリラーと呼ばれるジャンルなので怖いシーンもちょいちょい出てくる。俳優さんが美男美女が多いのでセクシーでスタイリッシュに仕上がっているのがなんとも不思議だ。『プリズンブレイク』のウェントワース・ミラーが出ているので要注目だ。他にも『君に読む物語』のジェームズ・マースデンが目立っていた。

ネタバレ注意です。

都会的な通りに路上駐車された車の上に高層ビルから人が落ちてくるシーンから始まる。そして登場人物の記憶を頼りに少しずつ話が遡っていく。
手錠をかけられた女性の遺体が『部屋』で見つかり、その部屋の使用者たちがモメる。その部屋は友人の男性5人で共同で使用されている秘密部屋だった。鍵も5本しかないので、友人同士、お互いが疑い合う。家族ぐるみでいつも一緒にいるような友人なので、その周辺の人物も場所を変えてもやたら会う。

作品では部屋と取調室、新築祝いのパーティー、結婚式、旅行先、ホームパーティ、チャリティーカジノなどの場面が出てくるのだけど、その場にいる人が被っていることにだんだん気付いてきて急に怖くなった。遺体が見つかった時にダイイングメッセージのようなものがラテン語で書かれていて、それが「運命が我々を結びつける」だったので、それを自分は他のシーンで思い出してしまった。演出がすごく上手いと思った。

関係者が多くて、犠牲になった女性の身元が分かるまで時間がかかり最後まで真実は分からない。たくさんの秘密や罠(?)が仕掛けられたこの作品はなかなか見応えがあって面白かった。