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映画『ペーパーマン』

映画『ペーパーマン』をDVDで観た。なぜ、この作品を選んだかと言うと主人公が作家であることと、スランプを乗り越える姿が見たかったからだ。ここ数ヶ月自分で文章を書くようになってから、あたり前だが、ただ楽しんで読むだけだった頃とまったく読み方が変わってしまったような気がする。

ネタバレ注意です。

この映画の主人公で有名作家のリチャード・ダンは書くことに限界を感じている。有能な外科医である妻と別居して田舎のある町に職場である一軒家を借りて再起をはかる。リチャードには他の人には見えない友人がいる。キャプテン・エクセレントという想像上の人物だが、孤独を感じてやまないリチャードを支えている別人格だ。リチャードは繊細で神経質で仕事上、一人で集中して仕事がしたいのだが、父子家庭に育ち妻との間にも子どもがいないのでこのような生い立ちが自分を孤独に追い込んで、一人になりたいが一人は淋しすぎるというめんどくさい精神状態で書けなくなっている。

この町に来た理由は「ヒースヘン」という絶滅危惧種である雷鳥の保護区があってその鳥の話を書くためだ。今はただ1羽しかいない雷鳥を自分のように感じている。そしてそれを書くことが怖くて一行も進まない。書き出しの主人公の名前が書けないからだ。

そして、この町でアビーという少女に出会う。なぜかリチャードはアビーが気になってしまう。自分によく似ていて幸せそうにみえないからだ。そして、ベビーシッターのバイトに来て欲しいと頼む。もちろん子どもはいないので、家の留守を守る仕事で孤独なリチャードの話し相手や料理を作ったりすることになる。留守中にリチャードの本を見つけ、それが気に入ってしまう。

仲良くなるにつれて、リチャードは自分の悩みをアビーにだけ話す。「自分はペーパーマン(紙商人)だ。もっと手を動かしたい。手の使い方が分からない。キリストだって大工だった。何かを産み出したい。」と海辺で白鳥の折り紙をアビーに渡すシーンがとても印象的だった。

そして、キャプテン・エクセレントに別れを告げて一人で頑張る決意をし、スランプ後初めて書いた作品(アビーとの出会いで立ち直った自叙伝)の一部の紙を白鳥の折り紙にして渡す場面は一番泣けた。高いプレゼントをもらうより世界で一つしかない自分の為の心のこもったものをもらうほうが何百倍もうれしい。双子の妹を8才の時に亡くして以来、7年の間心を閉ざしていたが、アビーはこれがきっかけで立ち直る決意をする。
リチャードは50才ぐらいの設定でアビーとの年代を超えた友情と愛情の間ぐらいの感じが何とも新鮮で美しかった。

いろいろ考えることはあるが、書きたいことを自由に書いて自分が楽しめなければ意味がないし、頭の中をさらけだすのは少々抵抗があるが、正直な自分の気持ちを書いて喜んでもらえたらそれにこしたことはないなぁと改めて感じた。

 

ペーパーマン PaperMan [DVD]

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