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はじまりは5つ星ホテルから

2013年公開のイタリア映画『はじまりは5つ星ホテルから』を観た。イタリア映画といえば『ニュー・シネマ・パラダイス』や『ライフ・イズ・ビューティフル』が有名だが、記憶するかぎり自分はこの二つしか観ていない気がする。どちらも大好きな映画だ。この『はじまりは5つ星ホテルから』はこの二つの映画とも全然違う。ドキュメンタリー的な要素が強い。なぜなら、主人公であるイレーネは「ミステリー・ゲスト」と呼ばれる5つ星ホテルの覆面調査の仕事をしていて、登場するホテルはパリ、イタリア、スイス、モロッコ、ドイツなどの実在するホテルだ。いろんな都市の風景や高級なホテルの外観やスイートルームがとても美しくインテリア好きも楽しめて、普段の生活から離れた気分を味わえる。多分ここの部分が一番のテーマになっていると思う。

ネタバレ注意です。

この職業をあまり知らなかったが、受付では笑顔で迎え、名前を確かめて歓迎の言葉を言っているか?従業員が清潔な服を着て、靴はそれに見合っていたか?ロビーや客室で特別な香りが使われていたか?空調や客室の照明の説明が十分だったか?室温は快適だったか?おもてなしの言葉はあったか?などいろんな調査項目があってとても勉強になる。

イレーネが支配人と話さずに独断で星を下げた場面があった。それは一見さんか常連でないように見えるお客さんに対して接客係が2日間徹底してバカにしたような態度を取った時だった。確かに映画の観客として感じ悪かった。実際にその場にいてその場面を見ても、自分がそのバカにされた立場でも嫌だと思う。
その従業員がその時どんな精神状態で過去に仕事上何があったか分からない人にとってはあまり感じのいいものではない。自分も普段そんな態度を取ってないかちょっと心配になった。

調査員という仕事にイレーネが悩む場面がある。旅先で仲良くなってこころを通わせることができそうな人と出会ったがその人物が急逝し、自分を重ね、自分の人生が果たして5つ星なのか悩んでしまう。自由だが孤独である。孤独だから自由でないのかと自分に問いかける。そして自分を見つめ直すために、貯まったマイレージでプライベートで5つ星ホテルに泊まる旅に出かけるところで話は終わる。

「幸せの概念は人それぞれ。自由や冒険の感覚をこよなく愛する人もいる。心のおもむくままに、この旅はあなたのものです。」という台詞があった。自分の幸せは何だろう。自分にしか分からない。