コメット

映画『コメット(2015年公開)』を観た。主役のデルを演じたジャスティン・ロングとキンバリーを演じたエミー・ロッサムの演技がすばらしかった。SFファンタジーで基本的に主役の二人しか出てこないのだけど演出がすばらしくて二人だけに見えない。二人の6年にわたる恋愛物語が、交錯するパラレルワールドの中で進行していく。

ネタバレ注意です。

『終わりの始まり』がテーマで場面や会話すべてがパズルのようになっていて、観客が自分なりにピースを埋めていくのが新しいと思った。舞台は出会いから遠距離、別れ、再会、再再会とあるが、全部ばらばらに観ることになる。時系列がめちゃくちゃなのにセリフ一つ一つは繋がっていて不思議な感覚を覚える。

そしてデルとキンバリーは惹かれあうのだけれど、いつも真逆のことを言う。例えば、出会いのシーンで「愛を信じるかどうか」で討論になったりキンバリーに対して「君は今を生きる」といい、自分のことを「僕は5分後を生きる」と言ったり、セリフが単純に見えて実は凝っているのがおもしろかった。

最後まで観ないと分からないことが多い。デルは最初に製薬会社の研究員で母親が重いガンであることが分かるけれど、キンバリーの素性がなかなか分からないので会話で推理していくしかない。そこもはらはらして最後まで飽きさせない作りになっている。映像は美しいのだけれど、なぜか狭さを感じる。個室のシーンが多いが部屋の窓から見る景色は無限大で不思議な美しさだった。外の場面もなぜか作られた感じがする。

時間は進んでいるのか、止まっているのか、遡っているのか、映画なのに絵画のような、不思議でしかたない作品だ。

 

COMET コメット [DVD]

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