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新しい愛の形

 

映画『神様なんかくそくらえ(2015公開)』を観た。R指定でタイトルもなんとも刺激的な感じだけれども、内容はそれを上回ると思う。しかし、東京国際映画祭でグランプリを受賞するほど評価されている作品だ。
実話をもとにした映画で、ドキュメントとフィクションを混ぜることで、「人生の終わりはどこで、虚構のはじまりはどこか」という虚構と現実の境界を表現した作品だった。

ネタバレ注意です。

舞台はニューヨークだが、自分が知ってるものではなかった。アリエル・ホームズが演じるハーリーは若い女性で薬物中毒のホームレスという難しい役どころだったがリアルで迫力があった。若い女性が主役ということでもちろん話は恋愛が中心に進んでいるはずなのだけれど、周囲の環境が悪く、悪い情報しか入ってこない。途中までこの作品が新しい愛の形を描いたダーク・ロマンスということに気付くことができなかった。

ハーリーが愛するのはケイレブ・ランドリー・ジョーンズが演じるイリヤはハーリーと同じ環境に住むどうしようなくダメな男だった。どこがいいのか分からないがどうしてもイリヤにこだわっている。途中、薬欲しさに売人のマイクと付き合い、奇妙な三角関係になったりするが、状況が状況だけに全然うらやましくない。憧れない恋愛映画はけっこうめずらしい。

監督はジョシュア&ベニー・サフディで兄弟で作品を作っている。この作品は斬新でインパクトがすごく、ダークな世界を描いているのにもかかわらず、どこか美しいものも残している。音楽にこだわりがあるようで冨田勲さんがアレンジすることによって宇宙船で作曲したように聞こえるドヴュッシーの曲がとてもきれいで作品にもぴったりで印象に残る。

そして社会問題も作品の中に組み込んでいるのも特徴なのだけれど、薬物問題はもちろんストリートキッズについてもいろいろ調べていて描いている。たとえばマクドナルドやスターバックスバーガーキングなどのチェーン店や大型書店のトイレ、映画館で時間を潰し、トップ100の音楽を聞き、もろに企業の影響を受けるというのもストーリーの中で出てくる。ちょっといろいろ考えて暗い気持ちになってしまった。意見は様々になるような作品ではあるけれど、愛とヘロインとの間で迷う主人公のダーク・ロマンスは観る価値はあると思う。

 

神様なんかくそくらえ [DVD]

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