スペインのベストセラー作家渾身の作品

『最後の乗客/マネル・ロウレイロ著(マグノリアブックス)』を読んだ。スペインの小説家の作品は初めてかもしれない。推理小説と思って購入したら、ちょっと違っていた。

ネタバレ注意です。

タイトルに『最後の乗客』とあるが、ざっくりいうと豪華客船の話だ。1939年8月にバラクスター号が異常に濃い霧の中にあるものを発見する。そしてそれが老朽化しハリファックス港でかなり傷がついたバラクスター号とは比べものにならないほどの豪華客船でこちらから信号灯で連絡するも返事がなく3名でその船(ヴァルキリー号)に入ってみることにする。しかし、入ってみると人気がない。なぜか食事の跡だけは残っている。そしてその料理もまだ温かそう。捜索した3名のうち1名はあまりに怖い何かを見て精神的に不安定になってしまう。この辺であれ?ホラーだ、幽霊船の話だとやっと気付いた。『タイタニック』とはちょっとちがう。そして舞踏室で毛布にくるまれた赤ん坊を見つける。

そこから突然現代のロンドンに舞台が変わる。『ロンドン・ニュー・ヘラルド』の記者ケイト・キルロイが上司からある取材を勧められて、いわく付きの富豪アイザック・フェルドマンの奇妙なプロジェクトへの投資を取材する仕事で、それがヴァルキリー号への投資で、古い船には似合わないような高値で入札が行われていたり、変な老人が現れたり、入札で争ったヴォルフ・ウント・クレーという会社が怪しかったりとにかくいろいろある。ヴァルキリー号自体がドイツの船で謎が多いのでケイトが実際に乗船したりして中を調べたりする箇所などは記者になったような気分が味わえる。基本密室だから怖いのは怖い。タイトルの『最後の乗客』は誰のことかは最後までわからないのでじっくり読んで欲しい。

読み終わってみればSFでちょっとオカルトな感じだったので、期待したものと真逆になってしまったけれど、おもしろかった。スケールが大きくて映画にすごく向いてる小説だと思った。マネル・ロウレイロはスペインのスティーブン・キングと言われていて代表作にゾンビを題材とした三部作『apocalypseZ』があるようなので探してみたい。

 

最後の乗客 (マグノリアブックス)

最後の乗客 (マグノリアブックス)