ゴールデンウイークに読みたくなる推理小説

お休みに入ったのだけれど、特に出かける予定がなかったので気分だけでもと思い『書店猫ハムレットの休日/ アリ・ブランドン著(創元推理文庫)』を読んだ。シリーズ化されているようでこれが三作目らしい。前作は読んでいないけれど問題なく楽しめた。

ネタバレ注意です。

主役のハムレットはNYの〈ペティストーンズ・ファイン・ブックス〉のオーナーのダーラ・ペティストーンに飼われている黒猫だ。今回の作品ではその書店にカフェスペースを造る間、ダーラとハムレットとダーラの知り合いの私立探偵ジェイクとフロリダに旅行する。その旅行の目的がおもしろい。全米キャットショーのゲストにハムレットが特別ゲストとして呼ばれる。ハムレットは空手をまねる姿がYouTubeの動画で人気が出て『空手キャット』と呼ばれるちょっと知られた猫だ。この設定がすごくいいと思った。

特別ゲストなので待遇がよくて宿泊するホテル(ウォータービュー・ホテル)が豪華でその周辺の街がおしゃれそう。〈がらくたショップ(骨董品店)〉や〈南国の鳥(衣料品店)〉〈ジェニーズ・ベイカリー〉など街並みが目に浮かぶようで読んでいてすっかりフロリダに行った気になってしまった。料理なども詳しく描かれていてキューバン・ペイストリー(ドーナツ)、キューバン・サンドイッチ、キューバン・コーヒーなどが出てくるのでお腹がすいてくる。

あらすじからだいぶそれてしまったけれど、そのキャットショー(リングという審査台で品種別に評価をうける)が行われている間にハムレットの護衛をしていたジェイクが襲われハムレットが一時的に誘拐されたり、殺人事件に遭遇したりする。例によって登場人物がみんな怪しいので動機など探っていくのがおもしろい。舞台がフォート・ローダデールという街限定なので怪しい人物同士が実は知り合いだったりする。キャットショーの審査員や出場者がある高齢者限定の高級マンションの管理組合や組合費紛失事件に関わっていたりと複雑に人間関係が絡まる。

ハムレットが本『グリンチはどうやってクリスマスを盗んだか』『漁師の靴』)を落としたり、雑誌の上に寝そべりある記事を飼い主に見せたりする場面があってそれをヒントにダーラが事件を解決していくところが小気味いい。他にも動物愛護団体の活動にも触れていたりと見所が多いしテンポがいいのであっという間に読めて旅行気分も味わえるのでおすすめだ。

 

書店猫ハムレットの休日 (創元推理文庫)

書店猫ハムレットの休日 (創元推理文庫)