星読島に星は流れた

『星読島に星は流れた/久住四季創元推理文庫)』を読んだ。元々、星が好きで、最近観た映画でも天文学者が登場する作品を選んだりしているけれど、この久住さんの小説にも天文学者が登場する。

ネタバレ注意です。

舞台はアメリカでマサチューセッツ州に住む日系の医師の加藤盤が主人公だ。盤のスマホにある招待状が届く。その招待状に夢がある。セントグレース島での集いの招待状でそれはかなり倍率が高い。その集いというのが〈スターゲイサーズ(星を読む人)・フォーラム〉という天文愛好家の集いでこれを主催しているのがサラ・ディライト・ローウェルという女性の天文学者だ。そしてこのフォーラムがちょっと他のフォーラムと違っているのはセントグレース島という大西洋沖にある小さな島に数年に一度隕石が落ちてくるという噂がある。それをサラが公に認めていて、しかもその隕石を参加者のうちの誰かに譲るという。

隕石が同じ所に何回も、しかも小さい島に落ちることがまずないことが不思議なのと、隕石がすごく価値があって高値がつくこともあるのにそれを人に譲るという矛盾、そして島で起こったことは他言無用であるなど謎めいていて、実際にあれば行ってみたいと思わせる。そのセントグレース島にはサラが所有する観測所〈星読館〉があってここに4日間寝泊まりする。

そこに選ばれた7人が集合して、寝ずの番をしながら隕石を待つ。NASAの職員のエリス・バーナードや学生の美空・S・シュナイダーや隕石回収業のコール・マッカシー、ニートのデイビッド・グロウ、スミソニアン博物館の職員アレク・クレイトン、薄幸そうなサレナ・カーペンターと盤と博士が主な登場人物で、のちに殺人事件に巻き込まれる。最近似たような島が出てくる小説を読んだけれど、これはこのセントグレース島、通称『星読島』がなぜここまで隕石を呼ぶのかとかこの7人の選択基準は何かとかサラがミステリアスなところとか、島と人物に焦点が当たっているのでちょっとテイストは違う。一人一人、隕石についてどういう気持ちを持っているのかを語る場面があったりして人物像を推理するのがおもしろい。ちなみに盤は流れ星と隕石の違いを知らないまま参加している。

もちろん、星座が全部で88星座あるとか、八分儀座、風鳥座、カメレオン座、水蛇座、コンパス座、飛魚座、竜骨座、南の三角座など聞いたことのない星座が出てきて勉強になることもちょいちょい出てくる(北半球で見えない星座を星読館に刻印して宇宙の88星座が全てそろうようにしている)ので天体好きな人も楽しめると思う。
隕石が落ちる当たり年という中で、果たして本当に隕石を見られるのか最後までドキドキしながら読めた。

 

星読島に星は流れた (創元推理文庫)