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神様の思し召し

映画『神様の思し召し(2015年公開)』を観た。イタリア映画で、大人のかっこいいおじさまの友情や家族愛を描いたコメディだった。若手のエドアルド・ファルコーネの初めて監督した作品だ。そしてこの作品では東京国際映画祭では観客賞、イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・デイ・ドナテッロ賞の新人監督賞を獲得している。評判どおりおもしろかった。主役のおじさまの一人トンマーゾを演じたマルコ・ジャリーニは過去に『赤いアモーレ』『ロバの美』『天国は満席』に出演、もう一人のおじさまのピエトロを演じたアレッサンドロ・ガスマンは『トランスポーター2』『ローマ、恋のビフォアーアフター』に出演しているベテランだ。若手とベテランとのこの組み合わせの相性が抜群によかった。

ネタバレ注意です。

トンマーゾは腕のいい外科医で息子一人、娘も一人、他にも養子がいたりする裕福な家族の大黒柱だ。特に医学を学ぶ息子のアンドレアには目をかけていて自分のような医師になってほしいと思っている。しかし、突然、宗教に目覚めて神父を目指すと言い出す。そこから、家族のドタバタ劇が始まる。トンマーゾはもともと自己中でワンマンでで自分が一番と思っているので職場や家で人望がない。いつもの調子で家族にアンドレアが宗教家になるのを断念させるよう説得することを押しつけるが逆に感銘を受け妻やアンドレアの姉は自分らしさを取り戻す。そこで息子をマインドコントロールしていると思われるピエトロ神父に会いにいく。そのピエトロが従来ある神父のイメージをこわしてしまう。話もおもしろいし、カジュアルな雰囲気なのでトンマーゾはますます怪しむ。調べると前科持ちだったりと予感が的中する。調査の為に偽の家族をつくり偽の家にピエトロを招くシーンは本当におかしくて笑ってしまった。絶対作品で見て欲しい。

トンマーゾはピエトロに何度も会ううちにピエトロに対する感情や頑固な自分、周囲との接し方が変化していく姿にはちょっと感動するかもしれない。草原で無神論者のトンマーゾと神父のピエトロが木に実った梨が地面に落ちることを〈重力かそれとも神の仕業なのか〉を話し合うシーンが一番きれいで印象に残った。あとはトンマーゾの妻カルラを演じたラウラ・モランテ(『息子の部屋』『マザー・テレサ』etc)にも注目したい。うつっぽい不安定な役をとてもかわいらしく演じている。最後まで展開が読めず意外性があった。イタリア映画らしい、明るくて暖かい気持ちになる映画だと思う。

 

神様の思し召し(字幕版)