Matterhorn

映画『孤独のススメ/Matterhorn(2016年公開)』を観た。オランダ映画で監督はディーデリク・エビンゲでこの作品が監督デビュー作にしてロッテルダム国際映画祭やモスクワ国際映画祭SKIPシティ国際Dシネマ映画祭などで数々の賞を受賞している実力派だ。

ネタバレ注意です。

舞台はオランダの町の名前は分からないが田舎町だ。俳優さんは誰一人知らなかった。主役のフレッドを演じたトン・カスは上品なのにすごいインパクトがあった。そのフレッドという人物は事故で妻を失い一人暮らしをする限りなく孤独な男でそこにふらりと謎の男テオが現れる。このテオを演じたロネ・ファント・ホフがトン・カスのインパクトを越えてくる。行動が謎過ぎてかわいくてしかたなくなる。映画を観てる方がそう思うのだから登場人物もそういう気持ちになるのは仕方がない。住所不定らしき男をフレッドは家に住まわせ始める。

フレッドはもともと熱心なキリスト教徒で音楽はもっぱらクラシックを聴き、家にあるレコード(家にある電化製品がすべて古い)バッハしかなくて、食事の時には必ず神に祈りを捧げ決まった時間に食べる。家の中でもきれいな格好してとにかく几帳面で自分にも他人にも厳しいが優しいところがあって、最初はテオに理由があって怒っていたのだけれど、困っているように見えて追い出せなくなり一緒に住み始める。一方テオはほとんどしゃべらなくて会話が成り立たないので作品の途中までどんな人かは分からない(動物のマネが上手いというところと素直だというところぐらいしか分からない)。

原題『Matterhorn』というのはスイスのマッターホルン山のことでフレッドが奥さんと登った思い出の場所でまた行きたいと思っている。話が進むにつれてフレッドがなぜ一人なのか写真の息子はどうしたのかとか、近所に住む友人カンプス(ポーギー・フランセン)との関係性、そしてテオの素性など細かいところが分かってくる。

のんびりした景色や挿入曲が美しくて、ときに切なくなってよく自分でもよく分からないところで涙した。LGBT映画祭でも受賞している作品でもあるのでさりげなく問題提起してある。一見コミカルなのだけれど、いろいろ考えさせられた。

 

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