ハイ・ライズ

映画『ハイ・ライズ(2016年公開)』を観た。イギリス映画で監督はベン・ウィートリーで原作はJ・Gバラードの同名小説だ。SFということだったけれど、ちょっとというかかなり不思議なSFだった。ジェレミー・アイアンズが出演していたので気になって観ただけなのだけど、衝撃的だった。多分、J・Gバラードの作風が自分が思っているSFとかけ離れていて驚いたのだと思う(主な作品としては『クラッシュ』『太陽の帝国』があるようだけれど体調がいいときに読もう・・)。

ネタバレ注意です。

SFなのだけれど、タワーマンションが舞台だった。自分が住んでいるところではタワーマンション建築が不可の地域なのでもちろん住んだことはないのでどんなものかは知らない。イメージとしてはエグゼクティブな感じ。作品でもそういう描かれ方をしていた。そこに一人の医師ロバート・ラングが越してくる。部屋は25階の2505室でそこが最上階というわけではない。一体どれほど高層なのかと驚く。そしてこのタワーの不思議なところは、ここ一つで生活に必要なものが全てそろう。例えば、15階にスーパーがある。皆ここで買い物をする。スカッシュのコードは20階。スパは30階だ。他にも何階かは忘れたけどプールもある。ラングは見た目もいい独身のお金持ちの男性で、近くの階の住人(26階のシャーロット)からパーティーに誘われる。このタワーでは毎日どこかでパーティーが開催されている。パーティーだらけであまり環境がよくない。ロバートはなぜか初めて会う人から、自分の身の上話を聞く。筒抜けなのだ。ある日、行ったことのないペントハウスと呼ばれる最上階の部屋に招待され、そこにはこのタワーを建築したロイヤルという男が婦人と共に住んでいる。ここの住人でもほとんど会えない人物だ(エレベーターも別)。豪華な部屋には大きな庭が併設されている。昔流行った都会のオアシス化計画みたいにデパートや高層ビルの屋上に畑や庭がつくられたことをちょっと思い出した。自分の思うSFじゃないと思うのはこういうところなんだと思う。「それあるから・・」みたいな。原作が1975年の作品だからしょうがないと思う。逆にすごいのか。

ロバートはロイヤルの妻からパーティーに誘われるのだけれど、当日のドレスコードを教えてもらえず、他の招待客からバカにされてペントハウスから放り出される。湊かなえさんの『夜行観覧車』を思い出した。いわゆるカースト制度がそこには存在しているのだ。設計ミスから1~12階の停電が起こりそれは確信にかわる。下の階は我慢しろと言われているのを聞く。そして、思い起こせばパーティーのメンバーは上の階と下の階で明らかに違っているしお互い良く思っていない。その停電とある事故からこのタワーに変化が起こる。嫉妬心や欲望を恥ずかしいと思い普通は隠すのが人間なのだけれど、この作品ではあえて理性を抜き去り逆にそこにスポットライトを当てているので、SFとかドラマというよりもホラーやスリラー映画のようだった。最近観たホラーよりホラーだった。

 

ハイ・ライズ[Blu-ray]

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