葛城事件

映画『葛城事件(2016公開)』を観た。監督はで、劇作家としても活躍されている赤堀雅秋さんだった。劇団『THE SHAMPOO HAT』では『殺風景』『大逆走』の演出もされている。俳優としても多くの映画に出演されている。私が観た中では『モテキ』『マイ・バックページ』がある。この『葛城事件』では数々の国内映画祭(第8回TAMA映画賞etc)で受賞している。実力のある俳優さんばかり出演している中、主演の三浦友和さんが一番受賞している。南果歩さん、新井浩文さん、若葉達也さん、田中麗奈さんなどが他の出演者なのだけれど、場面によっては全員主役に見える時があった。それぐらい迫力のある作品だった。

ネタバレ注意です。

題材になっているのは、大阪大付属池田小学校連続殺傷事件と言われている。しかし、その事件に焦点を当てている訳ではなく、その事件を起こし死刑判決を受けた被告人の育った家庭にスポットライトを当て、事件に至ったいきさつと死刑執行前後の家庭を描いていた。事件自体は、かなり内容を変えていたように思った。いろんな無差別殺傷事件が混ざっているような印象を受けた。主役は被告人の父親の葛城清で三浦友和さんが演じていた。その妻、伸子を南果歩さん、兄の保を新井浩文さん、そして被告人、稔を若葉竜也さん、そして稔と獄中結婚する星野順子を田中麗奈さんが演じていた。元になった事件でも、獄中結婚したことが当時報道されていてすごく驚いたことを思い出した。

この作品に出てくる葛城家は自営業で金物店を経営してしていて、長男保は会社員で家族の中では一番優秀で、父親からかわいがられて育ったが、次男稔は無職で家庭内で浮いた存在で卑屈なところがある。母親は無気力で夫の清には逆らうことができなくてたまに暴力を受けている。この葛城家では清が絶対的存在で誰も何も言えない。意見しても大概否定される。たまに家の大黒柱は絶対とかいうのは聞いたことはあるけれど、せいぜいご飯をよそう順番とか、お風呂の順番とか、それも守ったり守らなかったりで、正直この映画の家庭環境が怖くて理解できなかった。
さらに不思議なのは、田中麗奈さんが演じた星野順子という女性で、作品の中では死刑廃止論者でそれが獄中結婚の一番の理由になっていて、婚姻関係にある稔にも理解されず煙たがられたりする場面が痛々しかった。

作品の最後まで観て『一番人間らしいのは誰か』ということがテーマになっているように感じた。家の中が主な舞台になっているので、当たり前かもしれないけれど、やたらと食事のシーンが多い。それも、家庭環境があまり良くないので観ている観客はとても食べ物がのどを通らないように感じる場面で必ず登場人物が何か食べていて、そんな時に食べられるのが人間なのかそれとも食べられないのが人間なのか問いかけられているようなそんな気がした。

 

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