持たざるものが全てを奪う

映画『持たざるものが全てを奪う/Hacker(2015公開)』を観た。アメリカの映画だった。監督はアカン・サタイェフで出演者はあまりというか全然知らない人ばかりだった。タイトルの意味がよく分からなくて逆に気になって選んだ作品なのだけれど、内容はサブタイトル通りハッカーの話だった。
実話を元にした作品のようで、現在よりも少し前の犯罪を描いているはずなのだけれどすごく最新の犯罪に見えた。こんなことが毎日普通に起こっているとすればうかうか生活していられない。

ネタバレ注意です。

主役のアレックス(カラン・マッコーリフ)はもともと普通の高校生だった。両親とともに移民としてカナダのロンドンという街に越してきて、あまり父親の働きがなく、母親が銀行で働いて、一軒家のローンを払ったり、生活を支えていた。大学に行くにも、親はあてにならないと思い、自分でネットを使い稼ぐようになった。この頃までは特に犯罪的なことはしていなかったのだけれど、銀行員の母親がリストラにあったことで、銀行に恨みを持つようになり、その頃マスコミで話題になっていた〈ダークウェブ〉というハッカー集団に憧れるようになる。なぜなら政府や銀行などの汚職や私腹を肥やしているような機関をねらい社会をゆるがすことを目的にハッキングをしていると感じてしまったからだ。そしてその〈ダークウェブ〉のサイトにアクセスしてしまう。やり取りをすることは簡単にできるのだけど、〈ダークウェブ〉の兵隊になる為には、実績が必要とメッセージが送られてくる。それならと自分の学校にいる弱いものいじめをしているランディのクレジットカードの情報盗み〈ダークウェブ〉に送って認めてもらうことに成功する。この辺から犯罪に手を染めていく。第三者的に見ると単に犯罪を犯しているだけで全然社会も揺るがしていないし、私腹を肥やしているのはアレックスの方だと思うのだけれど、特にその世界のカリスマである〈ダークウェブ〉の代表に認められたい気持ちが強いばかりに全然気付かない。

その後、実家を離れトロントへ行き学費の為に更に不正クレジットカードの作成やそのカードで買った物の闇取引まで悪気なくやるようなる。大学も辞めてしまい、偶然サイという男と知り合いになってコンビを組む。サイは顔が広く、闇取引に向いていてランディの親友になる。さらにそのサイからキーラという女性を紹介されて、商売に女性がいた方がうまく行くときがあるからと仲間に引き入れるように言われて三人で働くことになる。このキーラも謎が多い女性でサイ以上に顔が広く、値切らない大口の客を叔父の紹介といってどんどん連れてきたりして、三人の仲がぎくしゃくする。三人とも傍目には全然悪人に見えないのだけれど、どんどん犯罪の深みにはまっていき、それががテンポよくあっさりと描かれていて、犯罪って存外こんなもんななのかなと思った。慣れてしまうことが一番怖いのだけれど。作品を観るきっかけになったタイトルの『持たざる者』が一体誰のことを指しているのか考えながら観るとさらにおもしろいかもしれない。