パーフェクトマン

映画『パーフェクトマン/完全犯罪(2015年公開)』を観た。フランス映画で監督はヤン・ゴズランで出演は『イヴ・サンローラン』のピエール・ニネと日本とフランス合作の『FOUJITA』のアナ・ジラルドなど若手俳優が中心だった。
タイトルだけみると、完璧な人の話なのかと思ってしまうのだけれど、内容は全然ちがった。

ネタバレ注意です。

ピエール・ニネが演じたのは作家の卵でなかなか芽が出ず、バイトで生活する青年マチュー・ヴァサーだった。遺品整理のバイト中に皮の表紙の手帳を見つける。、その持ち主のレオン・ヴォーバンが孤独死したことをいいことについ持ち去ってしまう。スランプに陥っていて執筆中の『陰の男』がどうしても書けないのでつい持ち帰ってしまった日記の中を読んでしまう。『アルジェリア召集兵の日記』という戦記でその内容が作家を目指すマチューにとっては魅力的すぎて内容をそのまま小説にしてしまう。実際に経験しているレオンの日記は深みがあり文章力もあって、写真などの資料も大事に挟まれていて、盗作になることもわすれ、夢中になって写してしまう。そしてタイトルを『黒い砂』と名付けてこともあろうかセルクル出版に送ってしまう。すると、すぐに担当者から連絡があり、出版することが決まる。まだ26才でもちろん戦争にも行ってない上情報収集さえしていないことや今まで興味を持ったことがなく小説を書く動機がないことに気づき、そこから猛勉強が始まる。完璧に質問に答えられるように有名人の格言まで勉強する。そして『黒い砂』は文学賞に輝き文豪の一人になる。多分この辺が『パーフェクトマン』なのかなと思った。アイデアが無いのは残念だけれど、ここまでできるのなら、盗作しなくても書けるんじゃないかと感じてしまった。

有名人になったマチューは文豪になる前に一目惚れしていた評論家のアリスとも恋人になり順風満帆に見えるのだけれど、プレッシャーで次の作品が書けなくなる。書けない期間が三年も続き、借金がかさみ、アリスのヒモのような生活になってしまう。アリスの幼なじみのスタンに才能を疑われたり、謎の男に「死者の記憶を盗んだな」と脅迫めいたことを言われたりするようになり、ウソを隠すためにさらにウソを重ねるようになり、サブタイトルの完全犯罪にしようとすればするほど追い詰められ、パーフェクトマンがパーフェクトで無くなっていく姿が痛々しくてつらかった。作品の最後まで観て気付いたのだけれど、マチューはいくつか書きたい作品があるのだけれど、評価を気にしてなかなか続きを書かなかった。他人の作品はどうどうと発表するのに自分の作品は恥ずかしがってアリスにもなかなか読ませない、よく言えば控え目な性格を描いたシーンが一番印象に残った。文章を書くのは難しいと感じるところまでは共感できるけれど、書きたいことを書かないことの方が精神的にきつそうと感じる自分は全然パーフェクトでないのかも知れない。

 

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