検事、弁護人、父親、そして息子

京都文化博物館で行われていた映画祭『EU FILM DAYS』が昨日最終日だったので行ってきた。

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最終日の最終上映作品は『検事、弁護人、父親、そして息子』というブルガリアの映画だった。監督はイグリカ・トリフォノヴァでブルガリアスウェーデン・オランダの合作の作品だった。
実話を元に作られていて、題材にされていたのはボスニア・ヘルツェゴビナ戦争後の国際戦犯法廷だった。裁判の傍聴はしたことがあるけれど、当たり前だけれど自分が知っているものとは全然違っていた。世界史や新聞で見聞きしたことがある事件の裁判がこんな風に行われていることを全然知らなかった。

ネタバレ注意です。

タイトルにあるように『検事、弁護人、父親、そして息子』とあるように二人の法律家と証人として召喚された元軍人である息子とその父親の話だった。弁護士のミハイルは戦犯である被告人の代理人だった。白い家と呼ばれる建物で起こった虐殺事件で告発されている被告人に対して有罪を確信してた検事のカトリーヌに証人として召喚された少年が証言をするも被告人は証人を知らないという。捨て子で両親のことも知らないと言ったりしてこの少年自体にに疑問を持ったミハエルが少年の母国ボスニアに行き両親を探す話だった。なかなか協力者が現れず苦労する。虐殺事件を指示したことで告発されている人物の弁護士なので、通訳の人まで仕事を降りようとする。
少年の入隊の理由(宗教的なこと)や趣味がサッカー(ボスニアでサッカーチームの一団すべてが本人の意思と関係なく軍隊にされた事件が過去に起こっている)が決め手になって両親が見つかり、写真の持ち出しは禁止されているので、実際に裁判で弁護側の証人として召喚することにする。そして、親子が戦争後初めて対面するのだけれど、すごく複雑な気持ちになった。最初、子供は知らないというのだけれど、父親は生きていたという素直にうれしい気持ちで息子だと証言してしまいDNA鑑定で親子が証明されると、生い立ちや名前までも偽っていたことがわかり、ついに刑務所内で取引があって証言台にたったことが分かり、裁判が振り出しに戻ってしまう。結局、証人になった少年は偽証罪では不起訴になり母国へ強制送還されることになるが、命の保証がされなくなってしまう。確信があり何とか有罪に持ち込みたかった検事の気持ちと理由はともかくとして(結果的に仕事に利用してしまう)親子を会わせてあげたいと思う弁護士の気持ちが交錯してもやもやしてしまった。

実話を元にした映画ということで、どこまでが参考にされているのかは分からないけれど、作品ではその後証人の消息は不明で両親が暮らしていた村には現在誰も住んでいないというめちゃくちゃ心配になる終わり方だった。ブルガリア映画を他に知らないし、ひょっとしたらこの作品も一般公開がないかもしれないので貴重だと思った。今回観られて良かったと思う。