ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(2016年公開)』を観た。アメリカ映画で監督はリチャード・ロンクレインで過去にスティング主演の『スティング/ブリムストン&トリークル』でモントリオール世界映画祭英語映画グランプリを『リチャード三世』ではベルリン国際映画祭銀熊最優秀監督賞を受賞している。モーガン・フリーマンダイアン・キートンが夫婦役で出演している。あと『セックス・アンド・ザ・シティ』のシンシア・ニクソンが出演していてNY感がすごく出ていた。

ネタバレ注意です。

モーガン・フリーマンが演じたのは画家のアレックス・カーヴァーでダイアン・キートン演じるルースと長年ブルックリンのアパートメントに暮らしていて、その部屋が5階でしかも建物が古いのでエレベーターがなく階段で上り下りしないといけないので年齢とともに住むことが難しくなり売りに出す話だった。NYに行けばよく分かるのだけれど確かに古いアパートメントが多くて、それがまた古いから悪いという訳ではなく大事に使っていて、すごく値段が高いイメージがあってそこはイメージ通りだったのだけれど、住みにくさまでは知らなかったので完璧なところはなかなかないんだなあと思った。

姪で不動産業をしているリリーに頼んで内覧会を開き購入者を募ることにするが、その前日にアレックスの周りでいろんな事件が起こる。飼っている犬のドロシーが体調が急に悪くなって病院にかつぎ込まれて検査や手術をすることになったり、近所のウィリアム橋でタンクローリーが立ち往生して通行止めになりそれがテロの可能性が疑われて大きなニュースになったりととにかくいろいろ起こる。内覧会は何とか開くことができたけれど、来た人の中にすごく失礼な人がいたり、事件のせいで部屋の価値が下がることもありえるので、アレックスはあまり家を手放したくなくなってしまう。自分は逆の立場で内覧会に行ったことがあるのだけれど、その時のなんとも妙な雰囲気を思い出した。言葉に気を遣ってすごく疲れたことを思い出した。

このタイトルの中の『眺め』というのは部屋から眺めのことを表現しているのはすぐ分かるのだけれど、この作品には他にもたくさんの眺めが出てくる。たとえばアレックスが恋愛するきっかけになったルーシーの肖像画にはめがねをかけたルーシーが描かれていてそれはいつもかけている眼鏡ではなくアレックスが指定した伊達眼鏡なのだけれど「これでは見えない」とルーシーが言うと「描く自分が見るのだから問題ない」と言うシーンがあったり、ほかにもアレックスを芸術家として尊敬しているルーシーが画廊の経営者から「若くない画家の絵や得意とする肖像画が時代に合っていない」と言われるシーンでは「芸術家は売る為だけじゃなくて自分の為に描いている」と言ってアレックスよりも怒るのだけれどもこれらもお互いを「眺め」てきた証であるように感じて、ただ部屋を売るだけの話ではないなと思った。内覧会の前日からの数日間を描いたちょっとした話ではあるけれどすごく深い作品だと思った。