お父さんと伊藤さん

映画『お父さんと伊藤さん(2016年公開)』を観た。監督はタナダユキさんで過去の作品の『百万円と苦虫女』や『四十九日のレシピ』などがある。出演者は上野樹里さんやリリー・フランスキーさん、藤竜也さんなどが出演していた。このキャストだけで期待してしまう。

ネタバレ注意です。

タイトルのお父さんと伊藤さんは上野樹里さんが演じた山中彩のお父さんと恋人の伊藤さんのことだ。お父さんを藤竜也さんが伊藤さんをリリーフランスキーさんが演じている。山中彩はコンビニでアルバイトしている時に伊藤さんと出会いなんとなくお付き合いをして何となく同棲している。年齢は彩が34歳で伊藤さんが54歳で20歳差の年の差があるが、おっとりしている伊藤さんと彩はうまくいっている。

ある日、彩の兄と同居しているはずのお父さんが突然アパートに転がりこんでくる。一度は兄から短期間父親を預かって欲しいと頼まれ断ったはずなのに家にいて、了承なしにお父さんと伊藤さん、彩の三人の奇妙な同居生活が始まる。
藤竜也さんが気難しく偏屈でめんどくさい父親を演じているのだけれど、嫌な台詞を言いながらも同時にどこか繊細で悪気のない雰囲気を醸し出していて憎めない。

お父さんは家族はみんなで一緒にごはんを食べるべきだといって譲らないので、食事の場面が多い。そしてその時食べるもの、『消え物』と呼ばれる撮影用の料理がすごく目立つ。だからそれに関する台詞が印象的だった。例えば、トンカツにかけるソースは中濃ソースは悪魔のソースでウスターソースでないとダメだとか、果物のカキは買うものじゃない、そこらへんでもいでくる(ちぎってくる)ものだとか、すごくこだわりを持っている。自分は中濃ソースというものを使わないというかあまり売ってないような気がする(関東は多いのだろうか・・)のでこのあたりは理解できる。とんかつソースもあまり買わない。こんな感じで、食べ物以外でも難癖つけて嫌みを言ったりして伊藤さんにも気を遣わせたりする。

ある日叔母が兄のお嫁さんである義理の姉の理々子を連れてきたことで、お父さんが兄の家でうまくいってなかったことが分かる。理々子を安藤聖さんという女優さんが演じているのだけれど、すごくうまくてインパクトがあった。父親が自分以外にも気難しい態度をとっていることが分かり、不安になって彩は父親を尾行したり、父親が大事にしている謎の箱を開けようとしたり、見ている方がどきどきした。一番お父さんとケンカにならなかったのは意外にも伊藤さんで、趣味の話で盛り上がっているシーンではほっこりした。

彩がお父さんを尾行するシーンでは自分は父親のことをどれだけ知っているのだろうかと不安になったし、自分が嫌な父親だと思うのは許せるけれど、自分以外の人から父親がそう思われるのは嫌だというこのなんとも微妙な気持ちを、父親を誉めてくれる人の前で感情が爆発してしまい彩が泣いてしまう場面があって、それを分かりやすく表現していたと思う。父親との接し方をもう一度考えたくなるような優しい作品だと感じた。

 

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