世界から猫が消えたなら

映画『世界から猫が消えたなら(2016年公開)』を観た。監督は永井聡さんで、過去に『ジャッジ!』などの作品がある。私は『ジャッジ!』の時に大阪で舞台挨拶があった時にお話を聞いたことがある。出演は佐藤健さんや宮崎あおいさん、濱田岳さん、奥田瑛二さん、原田美枝子さんなど人気のある俳優さんばかりだったので、きっと劇場で観た人も多いと思う。原作は川村元気さんの同名小説で、脚本は岡田惠和さん、音楽は小林武史さんが担当している。すごくこの作品に力を入れているのが分かる。私は挿入曲を聴くだけで思い出して泣いてしまいそうになる。

ネタバレ注意です。

主演の〈僕〉を演じたのは佐藤健さんで、この作品では一人二役に(シーンのよっては三役に)挑んでいる。〈僕〉にそっくりな〈悪魔〉を見事に演じ分けていた。舞台は函館で〈僕〉は郵便配達員として働いている。突然、自転車運転中に意識がなくなり、病院で診察を受け余命宣告をされる。作品の冒頭にこれは遺書だと〈僕〉から説明がある。泣ける映画だということは前評判で知っていても自然と涙してしまう。病院から帰宅すると突然〈悪魔〉が家にいて、「明日死ぬ」と言われる。そして、「世の中で何か物を一つ消せば、一日寿命が延びる。ただし、自分ではその物を決めることが出来ない。」と、ちょっとうさんくさいことを吹き込まれる。

〈悪魔〉は一方的に消す物をどんどん決めてくる。最初は「電話」を消すという。消される前に一番会いたかった、元の恋人の〈彼女〉に電話をして会いに行く。〈彼女〉を宮崎あおいさんが演じている。仕事といい住んでる部屋といい宮崎さんにぴったりの役だった。そしてまた〈悪魔〉が次に消すものを「映画」に決めたという。この〈僕〉の趣味や環境がすごく自分に似ていて感情移入してしまい辛かった。舞台となっている街にはすごく味のある映画館が出てきて昔の名作を上映していて、自分もお世辞にも都会と呼べない街に育ったので、娯楽といえば映画で映画なくして芸術や文化、思い出が語れなかったりするからだ。電話もなかったら多分大変なことになると思う。そして最終的にタイトルにあるように「猫」を消そうと言われる。

〈僕〉は何か一つ消す度に、昔の事がフラッシュバックされて、恋人、家族と拾った猫など現在と過去が交差する。そして命に比べれば大したことないと思っていた物やその物で繋がっていた人との思い出がいかに大切だったかを知る。昔の記憶で知人が突然亡くなって〈彼女〉が「世界から自分が消えたら悲しむ人はいるだろうか」と〈僕〉に問いかける場面があるのだけれど、最後まで観ると、それが別の意味合いに思えてすごく不思議な感じがした。

 

世界から猫が消えたなら