ひそひそ星

映画『ひそひそ星(2016年公開)』を観た。園子温さんの監督作品だ。主演は監督の奥様の神楽坂恵さんで他の出演者は知らない人ばかりだった。この作品は公開の25年前から構想があって園監督が温めてきた大切な作品のようだ。園監督といえばたくさん有名な作品が思い浮かぶ。最近の作品では『新宿スワン』があるし、『冷たい熱帯魚』や『愛のむきだし』なども有名だ。個性的で衝撃的な作品が多いような気がする。私はその中でも『ラヴ・アンド・ピース』がお気に入りだ。ちょっと他の作品とはテイストが違っていてSFなんだけれどお金があまりかかっていなさそうで(かかっていたらスミマセン・・)「好きなことだけを作品に詰めてみました」的な印象を受けたからだ。すごくかわいかった。実はこの作品も『ひそひそ星』と同様に昔から温めてきた作品らしい(25年作品と監督は呼んでいた)。そして同じくSFだった。

ネタバレ注意です。

SFなんだけれども出てくる景色は福島県浪江町だった。とくにジャーナリズム的な要素は入れず風景で叙情的な詩の様な作品にしたかったそうだ。
主な登場人物は鈴木洋子という宅配物の配達をしているアンドロイドでワンルームの和室のような内装の宇宙船に暮らしながら銀河系内の星に配達をしている。そして配達先の星の風景として浪江町が使われていてそこで人が待っているという話だった。配達先にいるお客さんは何人か俳優さんもいるけれどほとんどは実際に福島に住む人がキャスティングされている。園監督が前作の『希望の国』を撮影するにあたって震災被害を受けた人に取材をしているのだけれど、その時に出会った人が出演しているようだ。

宇宙船の設定も個性的だし、モノクロ映画に仕上げているので人がいない浪江の町がまるで新しい星のように見えた。アンドロイドから見た人間という目線なので終始不思議だった。テレポーテーションもできるのになぜ時間をかけ配達させるのか疑問に思い箱の中を開けて見たり、話し相手も操縦用のロボットしかいないので、レコーダーに自分の考えやあったことを日記のように録音している姿が孤独でせつなかった。そしてこの『ひそひそ星』というタイトル通り『ひそひそ』声で登場人物全員が話すところが一番気になって耳を傾けてしまう。ひそひそ話す理由は最後の方に分かるので是非作品で観て欲しい。実はシナリオが2パターンあったようで『ひそひそ星2』を製作すべきか園監督は考え中らしいので、もし発表されたら是非観てみたいと思う。

 

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