エミアビのはじまりとはじまり

映画『エミアビのはじまりとはじまり(2016年公開)』を観た。監督は渡辺謙作さんで過去の監督作品では『フレフレ少女』脚本家としては『舟を編む』がある。出演者は新井浩文さんや黒木華さんなど実力者と映画監督としても活躍されている森岡竜さんや前野朋哉さんなど個性的な俳優さんも多く出ていた。

ネタバレ注意です。
タイトルの『エミアビ』は漫才のコンビ名だ。誰もが主役に見える独特な雰囲気の作品なのだけれど、おそらくそのコンビを組んでいる森岡竜さんが演じた実道と前野朋哉さんが演じた海野が主役だと思う。そしてそのエミアビの元先輩芸人の黒沢を新井浩文さん、黒木華さんはエミアビのマネージャーの夏海を演じている。笑える作品だと思って観ると冒頭からちょっと裏切られるかもしれない。エミアビの一人の海野と黒沢の妹の雛子が同時に亡くなってしまう。エミアビの実道は方向性が分からなくなり活動停止になり黒沢の落ち込み方もひどい。タイトルに『はじまりとはじまり』とあるように、実道と海野の出会いからなぜ黒沢が元先輩なのかということやなぜ相方と妹が亡くなってしまったのかを、会話劇を通して描いている。

エミアビのコンビ名を決めた場面はもちろん、漫才のシーンまでもが泣ける。この作品の不思議なところは絶対笑えない(笑っちゃいけない)場面で笑いを要求されてそれがまたネタの完成度が高くてくすっときてしまって、その後自然と涙がでてしまうとうころだ。それがせつなくてなぜか暖かい気持ちになってしまう。森岡竜さんと前野朋哉さんはエミアビのコンビ名でM-1にも出場しているほどで作品内のネタは主なストーリー別にしてもおもしろかった。特にびっくりしたのは新井浩文さんもネタをやるシーンがあってこれがよかった。俳優さんとしてすごく好きなのだけれど実際芸人だったらファンになりそう。また作品自体が漫才のネタのような台詞になっていて黒木華さんは大阪出身ならではの関西弁を使ってこのネタのような流れにすごく乗れていておもしろくてかわいかった。東京が舞台と思ったのだけれど、景色としては横浜と千葉の海岸が出てきて印象に残る。
『自分自身が笑えない時に人を笑わせられるか』というプロ意識みたいなものがテーマになっていて、前に観た落語家の映画もそうだったけれど『人を笑顔にさせる仕事』はサービス業の中でも最たるもので美しささえ感じる。 

エミアビのはじまりとはじまり [DVD]

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