蜜のあわれ

映画『蜜のあわれ(2016年公開)』を観た。監督は石井岳龍さんで過去の作品では『生きているものはいないか』『水の中の八月』『ユメノ銀河』などがあり神戸芸術工科大学で教鞭もとっておられる。そして原作は多彩な才能を持っていた文豪室生犀星の同名小説だ。これだけでどんな作品になるのか期待してしまう。出演は二階堂ふみさん、大杉蓮さん、真木よう子さん、高良健吾さん、永瀬正敏さんなどとても豪華なキャスティングだった。

ネタバレ注意です。

二階堂ふみさんが演じた赤井赤子はなんと金魚の化身でかなり難しい役だと思うのだけれど、二階堂さんにぴったりの役だった。いつも、赤いひらひらとした尾ひれのついたような衣装を身に付けていて、足下はぽっくり下駄(かわいい)を履いていて、普段からこだわりのある服を着こなす二階堂さんじゃないとできないと思った。大杉蓮さんは老作家で、真木よう子さんは老作家のわけありの過去の女の田村ゆり子で高良健吾さんはなんと芥川龍之介役だった。真木よう子さんは普段ショートカットでさばさばした役どころが多いのだけれど、今回は未練たっぷりでつい出てきてしまい後をつけてくるようなちょっと妖しい役でそれが新鮮だった。髪型もロングで青白いメイクで真っ白い着物ですーっと出てくる。

この作品は老作家を中心にした四角関係を描いたラブストーリーで赤子は恋人になってすぐに、ゆり子に出会う。二人はライバルになる。ゆり子は2ヶ月前に誰かに呼ばれたために出てきてしまったという。そして、老作家には第三の女がいることが発覚してさらにこの四角関係がややこしくなる。〈第1章 あたいの初夜、第2章 金魚のそら似、第3章 死と税金、第4章 命あるところ〉 というように小説を読み進めるように会話劇で展開していく。章のタイトルのイメージ通り直接的でないエロティックな雰囲気が終始流れるのだけれど、二階堂さんのキャラクターもあってかわいらしい。金魚っぽいダンスを踊るところが度々あってそれがすごくよかった。真木よう子さんもすごくきれいだった。ちなみに永瀬正敏さんは金魚売りの役なのだけれど、ただ者ではない感じを醸し出していた。どんな役やっても普通にならないのが永瀬さんのすごいところだ。

老作家に2ヶ月前に何があったのかがこの話の鍵になっていてどこかミステリアスだし、赤い照明が効果的に使われていてどこかレトロでおしゃれで観ている間まるで夢でも見ているようなふわふわした気持ちになった。

 

蜜のあわれ

蜜のあわれ