手紙は憶えている

映画『手紙は憶えている(2016年公開)』を観た。カナダ・ドイツ合作の映画で監督はアトム・エゴヤン、過去の作品では『白い沈黙』『デビルズ・ノット』などがある。主演はクリストファー・プラマーというベテラン俳優で過去の作品では『サウンド・オブ・ミュージック』『ドラゴンタトゥーの女』を観たことがあるのだけれど、『サウンド・オブ・ミュージック』は1965年の作品で『ドラゴンタトゥーの女』は2011年の作品なので同一人物という認識がなかった。それぐらい俳優としての息がながい俳優さんだということだと思う。2011年、82歳でアカデミー賞助演男優賞を受賞している(『人生はビギナーズ』)。

ネタバレ注意です。

舞台はアメリカでクリストファー・プラマーが演じたの90歳の老人ゼブ・グッドマンで老人ホームで暮らしている。妻に先立たれてさらに認知症が進行して時として記憶を失ってしまうという役どころだった。頑固で躁鬱な性格もあって話すのは同じホームに暮らすマックス・ザッカーぐらいで心を閉ざしている。妻がなくなり喪に服す1週間が過ぎた頃、友人のマックスから手紙を受け取る。マックスが言うにはゼブが必ずやり遂げると話したことを書き留めた手紙だという。セブは認知症で記憶がないため手紙を頼りに自分が決心したことを実行するためにホームを抜け出す。

手紙の指示通り行動し列車に乗りそこで出会った人とのやりとりがさわやかだったりして途中までは老人が死ぬまでにやりたかったことをやる前向きな話なのかと思って観ていたのだけれど、電車を降りるなり拳銃を購入し、「ルディ・コランダー」という人物を探し始めたので、これはおだやかでないサスペンス的な話なのだと分かった。4人該当者がいて順番に当たっていく。そして該当者に「アウシュヴィッツにいたのか?」と聞く。ゼブはドイツからの移民で戦争によりナチスに恨みがあり復讐する旅に出たのかと推測できるのだけれど、ゼブが一見ただの老人で感じが悪くないので該当者の家族がすぐ家の中に招いてしまったりするので別の意味で怖かった。

ゼブの復讐は果たされるのかとか最後まではらはらして、クリストファー・プラマーの持つ独特の雰囲気で威圧感はすごくあるのだけれどテンポがすごくゆっくりしていて、ゼブがカナダまで遠出したりする場面では、体調まで心配してしまった。今までみたヒトラーやナチズムを題材にした映画とは一味も二味も違っていてすごくおもしろかった。