ゲノムの国の恋人

瀬川深さんの『ゲノムの国の恋人(小学館文庫)』を読んだ。瀬川さんの作品を読むのは初めてだった。小説家であり医師でもある多才な人だということもさっき知った。でも内容を見ればお医者さんだろうなということがよく分かる。実はかなり前から持っていて、自分にはちょっと難しくて途中でリタイヤした小説でもある。急に思い出して読んだらおもしろくて一気に読み終えてしまった。

ネタバレ注意です。

ジャンルでいうとファンタジーになるのだろうか?主人公はタナカという日本人だけれど日本はほとんどでてこない。タナカの職業は〈ジェノバイロテージ〉という会社でヒトの遺伝情報解析の研究をしていてとくにゲノムに潜む病気の素因を探るようなことが専門の研究員だけれど待遇があまり良くなくて転職も少し考えていた。そんな時、カルフォルニアの学会でプレゼンしているときに謎のカネダという男から声をかけられ、ある国でDNAに関する研究をしてみないかと誘われる話だった。研究の予算も億単位で報酬もかなり多い。いい話でタナカはその話に乗ることになる。その国については一切記述がないのでよけい読者に想像させる。アジアで軍事国家で・・・。そこでの仕事は今までの経験を生かして国家の最高元首の花嫁探しをする為の資料づくりで7人の候補者から一番心身ともに相性がいい人物を探すというかなり変わった仕事だった。いくらお給料が良くてVIP待遇でも個人情報中の個人情報でしかも国家機密に関わる仕事はこわいなあと思った。でもアンジーも自分の遺伝子を調べたことがニュースになっていたし最近の医学はそれぐらい進んでいるもかもしれない。

タナカは7人のことを『ラプンツェル姫』と表現していて〈第4章七人のラプンツェル姫〉ではそのお后候補に会ったときの印象を詳しく描いている。実際選ばれる方はどんな気持ちなのだろう。しかも見た目とか家柄はもちろんこれから発症しうる病気の確率まで出されたらなかなか完璧な人ってそういないような気がする。
そしてこのタナカが招かれた国(どこかは分からないけれど)がすごく特殊で研究以外することがあまりない。関わる施設は立派で先進国となんら変わらないけれどあまりその地域からは出してもらえなくてとてもミステリアスだった。一歩外へ出るとかなり怖い目にあったりするのでハードボイルドっぽくもあるし、軍事国家なので政治も絡んでいる。そしてタイトルに『恋人』とあるぐらいなのでラブストーリーの要素もあって最後まで変化にとんでおもしろかった。今思えば、医学的要素ばかり目について途中頓挫してしまったのがとても不思議だ。

 

ゲノムの国の恋人 (小学館文庫)

ゲノムの国の恋人 (小学館文庫)