夏休みの読書感想文を思い出すような推理小説

麻耶雄嵩さんの『神様ゲーム講談社文庫)』を読んだ。麻耶さんといえば『貴族探偵』が思い出される。ドラマ化もされていて人気の作家さんなんだなというイメージがある。ドラマもちょこちょこ観たけれどすごく個性が強いなと感じた。私は麻耶さんの小説を読むのはこれが初めてだった。推理小説はかなり好きだけれど、けっこう読んだことがない作家さんが多いのでマニアではない。今回は綾辻行人さんの「この事件の恐るべき真相をあなたは正しく理解できるか!?」という帯のコメントに惹かれて購入した。正しくない理解をしてしまうこともあるのかが特に気になった。

ネタバレ注意です。

舞台は神降市という町で10才の小学生の芳雄が主人公だった。地名を知らないのでどこかをイメージした架空の町のようだけれど、都会から越してきた友人がいると書かれたところもあったので少し田舎の町なのだろうか?そしてこの少し田舎の町には怖い事件が起こっている。それが『猫連続殺人事件』で芳雄が密かに好意を寄せるミチルちゃんがかわいがっていた野良の〈ハイジ〉が犠牲になり、犯人逮捕にのりだすという話だった。そして、芳男は秘密結社の少年探偵団のメンバーだったり、ヒーロー物のダビレンジャーが好きだったりするところは子供向けの小説かと思わせるけれど、ニュースになるようなありうる事件が題材になっていて、少し背伸びして読んだ小学生の頃の読書感想文用の本を思い出した。

登場人物はほとんど子供なのだけれど、一番印象的なのは芳雄と掃除当番で組んでいる鈴木くんだ。トイレ(掃除場所)で一番話す友人という変わった関係だ。そして鈴木くんは自分を「全知全能の神」でなんでも分かるという。それを芳雄は最初はおもしろがってゲームと思って質問責めをする。いかにもこどもらしくてかわいいと思って読んでいたけれど、事件に絡んだ質問をしてそれが冗談ではなくちょっと的をえていたりすると一気に怖くなる。最初と最後でここまで印象がかわる作品は珍しいと思う。最後まで読むと綾辻さんのコメントがすごく響いてきた。正しく理解できたか不安になって、最後の方を何度か読み直したりした。細かいことがすごく気になる人は悩むかもしれない。そもそも神様が同じ学校にいて同じ目線で話してくれるのだろうか?とか神様は全知全能なのだろうか?とかそこまで考え始めると話がひっくりかえるかもしれないなとかいろいろ考えてこんがらがってしまった。

貴族探偵』も(ドラマでちょこっとしか観てないけれど)主人公の貴族様はあまり口出しせず周囲の人が推理していたように思う。そして貴族様は何者かなかなかわからなかった。この神の鈴木くんも根拠を訪ねると、「神だから」としか説明がないところやクラスメートがだれも鈴木くんの連絡先を知らないところがちょっと似ている。実はこの不思議感が感想文にすごく合う、書きやすいと感じたから夏休みの読書感想文を思い出したのかもしれない。

 

神様ゲーム (講談社文庫)

神様ゲーム (講談社文庫)