幸せのハイタッチ

現在公開中の映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を観た。イギリス映画で監督はロジャー・スポティスウッドで過去の映画では『トゥモロー・ネバーダイ』『シックス・ディ』などがある。この映画は今までの豪華な出演者や人気シリーズのようないわゆる大作と呼ばれる作品ではなかった。正直出演者はだれも知らなかった。でも原作者のジェームズ・ボーエンがちょこっと本人以外の役で出ていて、ボブ役に本物のボブが出演していて原作を読んだことはないのにもかかわらずちょっと感激してしまった。

ネタバレ注意です。

青年と猫のハートフルな話であるということに違いはないのだけれど、ただただ楽しんで観られる映画ではないかもしれない。ジェームズはミュージシャンを目指しロンドンの路上でライブ活動をしているが実は薬物中毒者であり家庭の事情でホームレスだった。ロンドンにはずっとあこがれがあって好きなミュージシャンもそこからスタートした人が多いので現実を目の当たりにしてショックを受けてしまった。

映画の序盤はお金がなく食べ物も十分に食べられず現実から逃げようとして絶ったはずの薬物に手を出してしまい苦しむ姿が描かれていた。ボブと出会い人生が180度変わった話と勝手に思っていたけれど実はボブ以外にもジェームズは何人か自分を変える人に出会っている。ソーシャルワーカーのヴァルはジェームズが何度も薬物に手を染めるも必ず立ち直ると信じて周囲の反対を受けるも公営住宅を用意する。同じ公営住宅に住むベティはボブが少し好意をもつ女性なのだけれど薬物を特に嫌っていてベティに嫌われないようにすることによって薬物を絶つ決意を堅くすることになる。

もちろんボブもジェームズが立ち直るきっかけになっている。ボブがいなければベティと仲良くなっていないし何が欠けてもうまくいかなかっただろうと思えるぐらい幸せが数珠繋ぎというか芋ずる式というか全部つながっていた。サブタイトルの『幸せのハイタッチ』というのはボブの特技のことだと思っていたけれど最後まで観ると実は出会う人全員とのハイタッチの意味もあるのかなと感じた。この映画はカメラワークが変わっていてボブ目線のシーンが多かった。まるでボブになったような気持ちで争ったり苦しむ人間や自分以外の動物を冷静に観ることができてそのへんがすごくおもしろかった。

 

サテライト・モーメンツ (Light Up the Sky)

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