喫茶ユトリロ

太田忠司さんの『名古屋駅西 喫茶ユトリロ(ハルキ文庫)』を読んだ。この本を読んでイノダコーヒーのモーニングを食べに行くことになってしまった。すごく食欲がでる本だ。太田忠司さんの作品は初めて読んだけれど、過去の作品は推理小説が多い。名古屋の駅西にある〈純喫茶店ユトリロ〉が舞台で名古屋めしを紹介するグルメな小説のようなタイトルだが推理小説だった。

ネタバレ注意です。

この喫茶の経営者夫婦の孫の大学生(名大医学部1回生)の鏡味龍が主役だった。ユトリロは龍の祖父母と曾祖母が営んでいて龍の実家は東京で大学通学の為にユトリロに下宿している。
実は私は名古屋に行ったことがない。行く機会がなかった。でも食い意地が張っているので名古屋めしには興味がある。第6章の短編からなるこの作品にもそれぞれ名古屋めしが出てきて勉強になった。自分が知っている名古屋の名物といえば、ひつまぶし、味噌カツを思い浮かべる。しかしその二つとも出てこなかった。時代遅れなのだろうか。
〈第一章 手羽先唐揚げと奇妙なイタズラ〉では『鳥開エスカ店』の手羽先が紹介されている。若鶏の手羽先と名古屋コーチンの手羽先が選べるらしい。遠足のお弁当にも入れてもらうほど手羽先は昔から大好きなので興味を持った。なぜ龍たちが手羽先を食べに行ったのかというとユトリロの常連さんからピンポンダッシュの後玄関先に手羽先の骨が置かれるイタズラの解決を依頼されたからだ。事件解決の為にまず手羽先とはいかなる物かというところから始めるところがすごくおもしろい。手助けしてくれるのは大学の同級生と先輩でこの三人とユトリロの経営者、ユトリロにモーニングやランチにくるのいろんな年代いろんな職業の常連さんとの掛け合いがすごくいい。
〈第二章 カレーうどんとおかしなアフロ〉ではカレーうどん専門店『カレーうどん黄金家』が登場し、クローンのようにそっくりなアフロの二人組の正体を突き止める話だった。
〈第三章海老フライと弱気な泥棒〉では『御幸亭』の海老フライの紹介があって、捕まえた泥棒から警備員が「あんたはエビフリャーだ」と言われた件で言葉の意味を突き止める話だった。
こんな感じで、第四章では寿がきやラーメン、第五章では鬼まんじゅう、第六章では味噌おでんが紹介されてそれにまつわる事件解決をしていく。内容的には〈第六章味噌おでんとユトリロが似合う店〉のところが一番おもしろかった。一番食べたかったのは大きく身を開いて揚げた海老フライだったけど。とりあえず近場で海老フライの美味しい店でも探してみようかと思う。

 

名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)

名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)